糖化研究レポート

2019年3月28日

「糖化ストレス」は皮膚を老化させ、見た目に影響する

日々摂取している糖質は重要なエネルギー源ですが、過剰な摂取や、糖代謝が滞るとAGEsを生成する原因となります。さらに、酸化ストレスはAGEsの生成をさらに加速させます。カラダを構成するタンパク質にAGEsが生成すると、タンパク質の機能が低下します。さらにAGEsは細胞表面にあるRAGE(AGEs受容体)に結合し、炎症を引き起こすことも知られています1)。ヒトのカラダは常にAGEsによる悪影響を受け続けており、この悪影響が「糖化ストレス」です2)

ヒトが老化をもっとも感じるのはやはり外見です。「見た目年齢」と糖化ストレスの結果生じた皮膚のAGEsの蓄積レベルとの間に関係があるという興味深い報告もあります3)。真皮の主成分であるコラーゲンやエラスチンは、寿命の長いタンパク質なので、糖化の影響を受けやすいタンパク質です。コラーゲンが糖化すると皮膚の弾力性がなくなります(皮膚の老化)。このことが、肌のハリや弾力の低下の原因となります。紫外線もAGEsの生成を促すことが知られています。日光弾力線維症という疾患は真皮にAGEsが生成したエラスチンが蓄積する疾患です4)。このとき、皮膚のシワやタルミの形成に紫外線が関係しています。

さらに、AGEsは細胞にあるRAGE(AGEs受容体)に結合し、炎症を起こすことにより、皮膚にある線維芽細胞に対してアポトーシス(細胞死)を引き起こすことが知られています5)。線維芽細胞は皮膚で肌の潤いの基となるヒアルロン酸を産生する細胞です。皮膚の角層のAGEsは加齢とともに蓄積しますが、AGEsの蓄積量が多い角層では、肌のキメが低下し、老け顔への変化に影響を与えます6)。このように「糖化ストレス」は、いろいろな角度から皮膚の機能に影響を与えることで、ヒトの「見た目」に影響を及ぼします。「糖化ストレス」が強い状態のヒトは、暦年齢が同じ健康な人であっても、見た目年齢が高く見られるかもしれません6)

引用文献:

1) Circulation 114, 597-605, 2006

2) Anti-Aging Med 8, 23-29, 2011

3) Pharma Medica 33, 91-95, 2015

4) J Invest Dermatol 108, 797-802, 1997

5) J Biol Chem 280, 12087-12095, 2005

6) Glycative Stress Research 5, 50-54, 2018

Page Top