糖化研究レポート

2020年5月28日

カラダの血管を傷つける終末糖化産物(AGEs)

動脈硬化には多くの要因が発症に関係していますが、糖化によってできた終末糖化産物(AGEs)も、動脈硬化を進める原因となります。動脈硬化の中でも粥状硬化は、血管の内膜に脂肪からなるアテロームが蓄積することが特徴です。血液中の悪玉コレステロールとも呼ばれているLDL(タンパク質と脂質からなる低比重リポタンパク)が糖化すると糖化LDLとなり、本来の組織に脂肪を受け渡すという仕事をせずに、血管内膜へ蓄積します。さらに、糖化LDLはRAGE(AGEs受容体)に結合して、炎症を引き起こします。このことは、血管内膜にアテロームが蓄積する要因の1つになっています1)。粥状硬化に続き、動脈の石灰化が起こりますが、動脈壁のコラーゲンにAGEsが蓄積することにより、コラーゲンの構造が変化し、カルシウムの沈着が進むといわれています2)

糖尿病を発症し血糖が高い状態が続くと、血管が傷つき、合併症を引き起こすリスクを上昇させます。これには、細い血管が傷つく細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)と大血管症(脳梗塞、心筋梗塞、抹消動脈疾患、足病変)があります3)。糖尿病により、血糖コントロールが不良な期間が一定期間あると、その後に血糖コントロールの改善が試みられても、その後の細小血管症や心血管イベントのリスクが高いことが報告されています4)。すなわち、一度習慣的に高血糖にさらされてしまうと、それが“つけ”となり、血糖を改善してもその後の疾病リスクが大きくなることを示しています。これを「高血糖の記憶(metabolic memory)」とよんでいます5)。これは、高血糖により一度AGEsができてしまうと、なかなか代謝されずに血管組織にとどまるためと考えられています。

健常者でも加齢によって動脈が傷み、血管内皮機能の低下や、動脈硬化の進み具合を示す血管硬化度の上昇が認められますが、これは、運動によって改善できるという報告があります6)。ジョギングやウォーキング、自転車運動など中程度の強度の運動は、動脈硬化度を低下させます7)。また、高齢者においてカラダの柔軟性の低い人は高い人に比べて、血管の硬化度を示すbaPWV(上腕-足首間 脈波伝播速度)やcfPWV(頸動脈-大腿動脈間 脈波伝播速度)の値が悪いことが報告されていますが8)、ストレッチ運動を継続することで改善することも示されています9-10)。35歳から75歳の男女を対象に1日の歩行時間を増やすように指導した結果、1年後にはcfPXVの値が改善したという報告があることから11)、日常の活動量を増やすことでも動脈硬化度の増大を軽減することがきると期待できます。運動はカラダに余った糖を消費して、カラダの糖化を防ぎ、AGEsにより血管が傷つくのを防ぐと考えられるので、若々しいカラダを維持するためには適度な運動を継続することは必須です。

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